ドローンに使用されているバッテリーは、スマートフォンなどで使用されるリチウムイオンバッテリーではなく、リチウムポリマーバッテリー(通称:リポバッテリー)と呼ばれるものが使用されています。
リチウムポリマーバッテリーもリチウムイオンバッテリーも共に、エネルギー密度を高めたことで小型化、軽量化が可能となり、バッテリーに電力が残っている状態であっても、継ぎ足して充電できる特徴は同じです。
リチウム自体は常温で発火し、腐食性が強く毒性もある危険な物質です。
リチウムポリマーバッテリーとリチウムイオンバッテリー
リチウムポリマーバッテリー | リチウムイオンバッテリー |
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内部が高分子ポリマー材料で安定性の高い物質 | 内部が有機物の電解液で液漏れの可能性がある |
ショートさせるとバッテリーが膨張する | 揮発性が高く可燃するため危険 |
工場にて完全自動化製造できずコストダウンが難しい | 工場にて完全自動化製造が可能 |
リチウムイオンバッテリーは工場に完全自動製造が可能でコストを抑えることができますが、内部が電解液で、揮発性が高く液漏れの可能性もあるバッテリーです。リチウムポリマーバッテリーはリチウムイオンバッテリーの改良型で、バッテリー内部を電解液からシート上の高分子膜に変えたことから、リチウムイオンバッテリーに比べ、小型化、軽量化、安全化がアップしました。
ドローンのバッテリーは衝撃に弱く長期保存も向かない
ドローンに使用されるリチウムポリマーバッテリーは外部からの衝撃に弱い特徴があります。
ドローンの墜落による衝撃や運搬中にバッテリーを落としたりした場合には注意が必要です。外観上大きな損傷が見られない場合であっても、内部で異常な化学変化が始まっている可能性があります。
ドローンに装着し使用する事をやめ、可燃物がない場所に30分程度放置し、バッテリーの変形や発熱、発火などが起こらないか確認しましょう。
リチウムポリマーバッテリーは長期保管(1ヶ月以上)にも向いていません。他の電池同様に、100%充電された状態や0%充電の状態での保管ではなく、バッテリーに60%程度充電された状態で保管します。
100%充電された状態で長期保管をすると、リチウムポリマーバッテリーの電圧が上昇しバッテリーが膨らむ可能性があり、0%充電の状態で長期保管をすると、リチウムポリマーバッテリー内部でガスが発生し、同様にバッテリーが膨らんできます。
ガスを発生させたリチウムポリマーバッテリー全体の充電量は落ちる上、バッテリーが膨張し変形している場合は、ドローンにバッテリーを装着させる際にコネクタ部分を痛める可能性があります。膨張したリチウムポリマーバッテリーは使用せず、廃棄しましょう。
バッテリーの充電容量はバッテリー本体のLEDランプやスマートフォン画面、付属するバッテリー充電ケースで保管モードなどで対応できます。
リチウムポリマーバッテリーは直射日光が当たり続ける高温場所での保管は破裂の危険性があります。涼しい場所を選び、不燃性の容器の中に入れて保管しましょう。
バッテリーの廃棄方法
ドローンに使用されるリチウムポリマーバッテリーを廃棄するときは、3%程度の食塩水の中にバッテリーコネクタが完全に浸かるように入れます。1週間程度放置することで時間をかけて完全に放電させます。
完全に放電したリチウムポリマーバッテリーは、各自治体のごみのルールに沿って廃棄します。
ドローンのバッテリーを活用する
リチウムポリマーバッテリーは長期保管に向いていないため、ドローンを飛行させない期間にバッテリーは劣化していきます。DJIのPhantom 4やMAVIC PROではドローンのバッテリーをモバイルバッテリーとして使用できるようにする変換アダプタが付属しています。
スマートフォンの充電が足りなくなったら、ドローンのバッテリーからスマートフォンを充電します。
ドローンバッテリーを活用できると共に、飛行可能時間が短くなったドローンバッテリーを再活用する方法としてもよいです。